「オンライン会議」のやり方やツールを再考してみる。
どんな会社でも当たり前になったオンライン会議。
Agend編集部で「良いオンライン会議」のやり方やハードウェアや環境も含めたツールについてを再考してみました。
編集部内の雑談を記事にしているので他の記事に比べるとライトでカジュアルな内容ではありますが、どうぞ最後の「まとめ」までお読みください。
フジイユウジ
Agend編集長。
スタートアップや様々な事業の経営やグロースに携わる中で、事業を成長させるためのチームコミュニケーションに興味を持つようになり、仕事のコミュニケーションメディア「Agend」を立ち上げた。
奥川隼彦
Agend編集メンバー。Webマーケティングを本業にしつつも、組織開発や社内コミュニケーションに興味関心を持ち、Agendにてインタビュー・ライティング・写真撮影などを担当。
マイクをミュートにしないメリット。
今日はオンラインでの「会議体験」をテーマに雑談するわけですけど、みんながオンラインで打ち合わせできる良い時代になりましたね~
いわゆるIT系じゃない企業の方も、今はみんな普通にオンライン会議ですもんね。
ちょっと前、チーム内で「それいいですね」って気軽に言わないとチームの推進力が落ちるって話をしたじゃないですか。
人が複数いるところで黙っているのは中立ではなくブレーキになってしまうから、リアクションしましょうっていうやつ。
先日、ある勉強会に参加させてもらったんです。
オンラインで実施だったんですけど、そこで面白いなと思ったことがあって。
参加者の人数は多いのにみんなマイクをミュートにしていなかったんですよ。
オンラインMTGだと、メインで話す人以外はミュートにすることが多いですよね。
雑音が入らないように配慮して。
それだと、思わす笑っちゃった声とか、「おおー」ってレスポンスが伝わらないですよね。
いちいちマイクオンにしてから「おおー」って言うとか、ミュート解除して笑うとかできないじゃないですか(笑)
そのオンライン勉強会では、ほぼみんながマイクをオンにしているから、聞いてる人の反応やガヤがめっちゃよくわかったんですよ。
話者が説明している時に「へぇー」とか「おぉー」とかいう声が入る。
これはポジティブなリアクションが得られて本当に良い体験だし、チームのためになるなと思ったんです。
雑音が入らないように配慮してミュートにしてたけど、本当にうるさい周辺音が入るわけじゃないときはマイクをオンにしっぱなしの方が良いのかもしれませんね。
そうなんですよ。
実は音声のほうが自然な「おー」とか「なるほど」みたいな反応がわかるんじゃないかと。
今は二人で話してるからミュートすることはないけれど、僕が話してる間に奥川さんがミュートしていたら、笑い声や「うんうん」って相槌の声がわからなくなる。
たしかにそうですね。「いま自分の話すターンではないです」という表明の代わりにミュート機能を使ってるところがあるかも。
それで失われているレスポンスがあるとチームのコミュニケーションや勢いを止めてるのかもしれませんよね。
レスポンスが失われてしまうだけでなく、自分が話す場面でしかマイクをオンにしなくなったことで、「では奥川さんどうぞ」って言われないと話さないようになって、会話や議論のテンポが悪くなってるってこともありそうですよね。
だから、よほど周辺音がうるさいとかでなければ、あんまりミュートしなくても良いんじゃないかなあって思ったりします。
ミーティングの進行内容や雰囲気にもよりますけどね。
なるほどー
軽い賛同とか軽い驚きのレスポンスって、チームコミュニケーションをなめらかにする良い効果があるんだろうし、「気軽に話し始められる」って思った以上に重要なことのような気がしてきました。
オンライン会議ツール上で挙手したり、ミュートを外して「話しても良いでしょうか」って言わないといけないのは、レスポンスの前にアクションが伴うのでブレーキになってるかもしれないですね。
「マイクをミュートにするな」って強制的ルールにしちゃうのは絶対ダメだと思うけど、こういう効能があるってことはもっと考慮されても良いんじゃないかなあと思いますね。
「会議や仕事の目的を果たせるか」より「カメラがオンであるかどうか」にこだわっちゃう人がいると、ちょっと怖い。
そういえば、「オンラインの社内会議でカメラをオンにすべきか」って話題、定期的にSNSで話題になって盛り上がりますよね…… (笑)
社外との会議は別として、社内会議のカメラのオンかオフかなんてどちらでもいいんですけど、「表情とか雰囲気とか抜け落ちちゃう情報があるよね」ってのは分かるんですよね。
だから、マイクの話と同じで、カメラもオンにしたほうが雰囲気が伝わるし話しやすくなって良いと思いますよ。
とはいえ、この「オンラインの社内会議でカメラをオンにすべきかどうか」がSNSで議論になるのって、強制したり同調圧力的にカメラオンを迫るかどうかの話なりやすいからだと思うんですよ。
「情報が抜け落ちるのはけしからん。カメラは強制的にオンにすべきで、それ以外を認めてはダメなんだ!」っていう人はちょっとキツいというか、言葉を選ばず言えば「社員を監視してコントロールしようとしている」って感じがする。
社内向けの会議ならカメラをつけるかどうかなんて、その時々の状況にあわせて個人判断で良いじゃないですか。
確かに。
自分の判断でカメラをオフにしても周りが何も思わないなら安心感があるけど、「カメラオフにしたら変に思われるかも」と感じるようなチームは心理的安全性がないですよね。
そうそう。
ぼくがチームメンバーから「今日は化粧してないんで、カメラオフで話します」って言われるとか、奥川さんから「今日は子どもが近くにいるんで、カメラ切りますね」って言われたとしても、なんの問題もないし、特に何もマイナスに感じないと思うんですよ。
その自由と安心感がパフォーマンスにつながるなら、マイナスどころかプラスになってるわけで。
そうですね。
社内会議をするときに「カメラがオフでも十分に会議の目的を果たせるよね」って言える関係性なら問題ないわけですもんね。
「会議や業務の目的を果たせるかどうか」よりも「カメラがオンであるかどうか」にこだわっちゃう人がいると、ちょっと怖いし、ストレスになりやすいですよね。
表情や雰囲気などの情報が抜け落ちることで業務の進行にマイナス影響があるなら変えるべきだとは思いますけど、実際は表情や雰囲気が常にわかっていないといけない業務って少ないだろうし、それに対して「カメラをつけて参加者を監視すること」は対策としてはあまり良い手段ではないですよね。
「今日はカメラをつけません」って安心して言って良いチームは問題ないけど、それを言いづらいチームも割とありそう。
「カメラはオンにすべし」って強制に近い決まりをつくる会社の気持ちもわかるんですよね。
まったく良いとは思わないけど、気持ちはわかる。
チームメンバー同士で良いパス回しができる状態になっていないのに必要最低限”未満”のコミュニケーションしかしない人っているじゃないですか。
できるだけ人と関わらないようにして、顔も見られたくないし、会議みたいなフォーマルなところでは最低限の進捗報告しかしたくない、他の会話はできるだけ避けたいみたいな……
コミュニケーションを拒絶するタイプ、たまーにいますね……
そういうふうに仕事の仲間とすら距離をとる怖がりな人がいるから、カメラのオンを強制ルールとして定めちゃう会社があるのも気持ちはわかるんですよね。
ぜんぜん良い解決方法だとは思わないから、もっとチーム内で対話したほうが良いと思うけど。
あと、チームの雰囲気が悪くなるにつれ、みんなカメラをつけなくなるのも見たことありますね。
えっ、最初はみんなカメラをつけていたのに、だんだん消していくってことですか?(笑)
チームが発足したときはみんなカメラつけて笑顔で話していたけど、何ヶ月かしてチームの雰囲気が悪くなるにつれカメラをオフにする人が増えていって、業績が悪くなってきたらみんなカメラつけていなかった……
だんだんロウソクが消えていく怪談みたいですね。(笑)
カメラがオフだから雰囲気が悪くなるってよりも、雰囲気が悪くなるとカメラを消しがちってことは言えるかもしれない。
これはニンゲンの本能的な防御反応だと思うんですよね。
オフィス出社とか対面する場合でも、雰囲気が悪くなると最低限のコミュニケーションしかとらなくなっていくじゃないですか。
カメラを強制オンにさせるよりも、「カメラのオンオフは個々の状況にあわせて自由で良いが、同じチームの人にできるだけ顔を見せたくない・距離をとりたいと感じるようになったらカメラとは別の問題がチームに起きている」という当たり前のことを事前にチームのみんなで話し合っておく方が良いと思いますよ。
もちろん、その悪い状況になってから話し合っても手遅れなんで、その前に。
「会議体験」は生産性に大きく影響するのに個人のリテラシーに依存している会社が多い(気がする)
冒頭でも話したけど、コロナ禍を経て世の中が変わって、歴史ある大企業でもオンライン会議が普通になったのってすごいことですよね。
画面共有の機能を使えば、プロジェクターなどでスクリーンに映すのと違って、各自が目の前のPCの画面で読めるから資料のどこを見るべきか参加者みんなが集中できるのもありがたい。
大きな会議室に複数人が集まってオンライン会議に参加するのは、聴き取りづらいこともありますもんね。
そうそう。
声の通りが良いかどうかや話を聞き取る聴力って、個人差があるじゃないですか。
オンライン会議なら自分に合わせた音量に調整できるし、ヘッドセットやマイクで体験を良くできる幅が広いのが良いんですよねえ。
資料も自分の画面で見られると、見やすいじゃないですか。
フジイさんの話を聴いているうちに、オンライン会議にはリテラシーが必要なんじゃないか、って思いました。一定以上のリテラシーがある人たちだとオンライン会議の体験が突然良くなるような感覚があって。
カメラやマイクみたいなハードウェアもそうですけど、どんなファシリテーションが必要か、どんなアプリケーションやツールを使うとうまくいくか、インターネット環境が問題ないか、リテラシーが必要な気がします。
ちなみに僕はオンラインゲームのボイスチャットでそれを身につけた気がします。
そうですね。
もっと多くの企業がオンライン会議の体験向上に取り組んでくれないかなあって思ってます。
今ってまだ、個人ごとのリテラシーに依存してて、会社として取り組んでることは少ない気がするんですよね。
あー、わかります。
会社で教えたり、話し合ったりしてないですよね。一部、丁寧にやってる会社は仕事のガイドラインに書いてあったりするけど。
マイクの音が悪くても自分では気がつけないし、会社で教えた方が良いのかもしれないですね。
オンライン・オフライン組が同時参加するオンライン会議ってありますよね。
一部のオフィスにいる人たちだけ会議室に集まって4-5人グループが参加するような。
そのときに複数人用のスピーカーマイクを使わず、参加者のうちのひとりのPCのマイクを使ってるとめちゃめちゃ会議体験が悪くなるじゃないですか。
ありますねー。
画面越しの会話がワンテンポ遅れたりとか、声が重なると聞こえなくなるとか。
会議室だと人数にあわせたスピーカーマイクが必要だってことが広まって欲しいんですよね。
5人未満くらいなら安いのでも良いけど、8人以上になると良いスピーカーマイクだけじゃなく拡張マイクもないと厳しい感じがする。
最近だと会議室とは別にWeb会議ブースとして1人用ボックスを大量に置くオフィスも増えたので、数が足りるなら1人ずつが自分のPCで会議に参加した方が全員気持ちよく会議できると思いますね。
これからオフィスの設備や内装を考える読者が読んでくれていたら、社員が増えてもブースが足りなくならないようにして欲しいな(笑)
それから、自分の席でオンライン会議をしてる会社もあって、その人のオフィスまわりの音が会議参加者に聞こえちゃって会議体験が悪いってこともありますよね。
コールセンターで使うような口元の音だけを拾うヘッドセットを設備として社員に用意してくれると良いんですよね。
高性能なやつなら隣の席のメンバーが同じ会議に参加してても話せるし、Web会議ブースを置けないオフィスならこれで対策するのも良いと思う。
謎な会議マナーをルール化するとかよりも、周辺の音を拾わなくなるようにマイクの性能を上げる取り組みをして欲しい……
マイクがしょぼいと相手がめちゃくちゃ聴き取りづらい状況になりますね。
用意するだけでコミュニケーションの質が上がるんだから、良いヘッドセットやマイクをさくっと買ってほしいですね。
この記事の締め、「会社で良いマイクを買おう」でいいのかな(笑)
まとめ: オンライン会議が一般化した今だから再考しよう。
いつもよりライトなテーマでお送りした【Agend編集部の雑談】ですが、みなさまのオンライン会議の体験向上の役立てていただければ嬉しいです。
■ 仲間からもらうポジティブなリアクションが「話すとき以外ミュート」によって失われているかもしれない。
■ とはいえ、「会議や仕事の目的を果たせるか」より「カメラやマイクの使い方」にこだわっちゃう人がいると、チームの雰囲気が悪くなるだけなのでは。
■ カメラを強制オンにさせるよりも「顔を見せたくない・距離をとりたいと感じるようになったらカメラとは別の問題がチームに起きている」という当たり前のことをチームのみんなで話し合っておく方が良い。(ただし、雰囲気が悪くなってからでは手遅れ)
■ まだまだ多く企業がオンライン会議の体験向上に取り組んでおらず、個人のリテラシーに頼っている。オンライン会議リテラシー向上の取り組みが一般化すれば社会全体の生産性向上につながりそう。
■ 会議室には複数人用のマイク、個人には高性能ヘッドセットかミーティングBOXを導入しましょう。
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(企画・編集:フジイユウジ / 取材・文・撮影:奥川 隼彦)2024年8月