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会社員は組織でどう立ち回れば良いか。部下の接し方、上司との接し方。―――プロのサラリーマン、toksatoさんに聞く。

見出し画像で「CSS完全に理解した」Tシャツを着てキメ顔をするtoksatoさん

今回のテーマは、会社員は組織でどう立ち回れば良いのか

上司との関係構築も部下とのコミュニケーションも上手く、従業員数が数千人規模の会社でプロのサラリーマン的に成果を出しつづけているWebディレクター、toksatoさんにお話を伺います。

「上司とどう接するか」から「部下との対話方法」、そしてそれらを支える toksatoさんの仕事観は、職場でのコミュニケーションに悩む多くの人が参考になるのではないでしょうか。

toksatoさん


toksato

Webディレクター暦18年目。”むめいなWebディレクター”を自称してブログを書いている(※実際は無名ではない)。
現在は、数千人規模の事業会社のWeb/DX関連のディレクター。事業会社から受託企業まで幅広い経験を持ち、小さなものから億を超える予算のプロジェクトまでこなしている。
専門学校でWeb学科の学科責任者をしていたこともあり、人材教育の専門知識や経験も豊富。


フジイユウジ


【Agendインタビュアー】 フジイユウジ

Agend編集長。2011年バンダースナッチを創業。
様々な事業の経営やグロースに携わる中で意思決定のための会議や組織論、チームコミュニケーションに強い興味を持ち、Agendの運営を開始。

toksato流、上司から信頼される方法。

フジイユウジ

これまで、Agendは経営者やビジネス書の著者を取材してるんですけど、読者は普通の会社員が多いんですよ。
そこで今回は、大きめの会社にいて、上手く立ち回っている「プロのサラリーマン」としてtoksatoさんから上司との接し方、そして部下とのコミュニケーション、それぞれどうしているか教えてもらいたいんですよね。

自他共に認める組織の犬、toksatoです(笑)
よろしくお願いします。

toksatoさん

フジイとtoksatoさんが笑顔で会話している

フジイユウジ

いきなり本題に入っちゃいますけど、toksatoさんって人を欺いたり小狡いことせず、上司からも部下からも信頼を得てる人じゃないかなと思うんです。
それなりに大きい会社でも、小規模な会社でも。
これは組織内のコミュニケーションで困ってる会社員にとって理想っぽく見えると思うんだけど、どう立ち回ったらそれができるんですかね。

まず、上司から信頼されたいなら、上司に好かれるようにすればいいんじゃないですかね。

toksatoさん

フジイユウジ

いきなり、「それはそうだろうけどさ」ってなるようなこと言い出したな(笑)

「好かれればいい」って表現は言い方が良くないかもしれないな……。
「上司がそうしたくなるようにすればいいじゃん」が、より正しい表現ですね。
上司は上司で、経営層や株主から会社としての結果を求められてたりするじゃないですか。
そこで、ぼくが上司が出したい結果に役立つ行動をすれば、高く評価して信頼してくれますよね。
「おお、こいつええな、こいつにいろいろ任せよう」と。
ただそれだけの話だと思いますけどね?

toksatoさん

フジイユウジ

ちょっと待って(笑)
それはそうだろうけど、上司がクセがある人だったり、場合によってはクソ野郎だったりするから、世の中の人たちは上手くやれなくて困ってるんじゃないですかね?

そこでイヤになっちゃって行動しなくなる人が多いから、ぼくが評価してもらえてるのかもしれませんけどねぇ……。
ぼくは会社の利益に貢献して、なるだけお高い給料をもらって幸せに生活するために仕事をしているわけですよ。
だから、「会社が達成したい目的」に対して、自分がどう行動するかという話であって。
そこに上司の人間性とかどうでもいい
と思ってるんですよ。べつに友達じゃないんだから。

toksatoさん

フジイユウジ

たしかになー。
そう考えれば、上司がどんなやつでもどうでもいいのか。

上司がバカや無能だと、たしかに「会社が達成したい目的」に対して障害にはなるんだけど、どのくらい困るかにもよりますよね。
違法行為をしてくるとか、徹底的に邪魔してくるとなると大変ですけどね。
そうだとしても、それならその人を排除することを頑張るだけなんで。

toksatoさん

考えながらも笑顔のtoksatoさん

フジイユウジ

市場や顧客にむかってなら目的に対して努力できる人も、自分の会社内や上司のことだとバカバカしくなってやる気がなくなるってよく聞くけど、toksatoさんの場合は目的に対して必要ならば、社内のことだろうが上司のことだろうが、やれるだけのことはやるってことなんだな。

自分の好きなタイプの上司じゃなければ成果が出せないなんて、理屈からするとちょっとおかしいと思うんですよね。
こっちも人間なんで、成果の度合いが多少変わるくらいはありますけど、大したことではないですよ。
相手が幼稚な態度をとるとか、気がコロコロ変わるみたいなタイプだとしても、まあそういう人なんだと考えて、それに対してどうしたら成果出せるかに頭を切り替えた方がうまくいくと思います。
基本的には、単なるビジネスパートナーなんだし。
もちろん、上司とも友達のように仲良くなれたら最高ですけどね。

toksatoさん

フジイユウジ

イヤだなって感情に支配されないで、そこを目的に立ち戻ってサッと切り替えできるのがスゴいですね。
みんなそれできないんですよ。

ぼくも、自分がイヤなことをやってるとか、無理をして上司に尻尾を振ってるとかいうことはないですねー。
どうしたら無理に頑張って上司に尻尾を振るようなことをしなくて済むかを考えてます。
それと同時に「どうとらえたら無理せずイヤなことをせずに尻尾が振れるだろう」と、その気持ちを膨らます方向に考えるようにはしているかも。

toksatoさん

フジイユウジ

無理なく尻尾を振る方法を考えるっていいですね(笑)
たしかに、イヤなことを無理しても続かないし、メンタルにも良くないですよね。
頭の切り替えだけじゃなくて、気持ちの整え方も上手だ。

クセのある上司とか変なこと言う人だったとしても、その人なりの考えとか物事の感じ方に興味を持って見ると、誰しも面白いところや個性があるじゃないですか。
自分に合う・合わないとか考えるんじゃなく、「この人」と「会社として目指しているゴール」を上手くつないで仕事をしていくには、どう接するのがベストかを探す努力をするというか。

toksatoさん

んー、という感じの顔をしているtoksatoさん

フジイユウジ

ここ、面白いすね。
ビジネスパートナーだから究極はどうでもいいとは思ってるけど、ドライにやるってわけじゃなくて、その人自身と向き合う姿勢はちゃんと持ってるんだ。

ドライかどうかはわかりませんが、会社や仕事としての目的を達成するためには一緒に働く人と向き合う姿勢は必要ですよね。
感情で動く人なのか、なんでもかんでも根拠を求めるのか、好き嫌いで判断をするのか。
どんな相手かを知らないと、相手の欲しい成果を出すことができないですよね。

toksatoさん

フジイユウジ

上司をハックしているなー(笑)
たしかに、みんな toksatoさんほど他人と向き合うことしてない感じがするし、手を抜きがちなのかもしれない。

友達相手でも「この人はこういうのが好き」って傾向を見てコミュニケーションしません?
一緒だと思うんですけど、仕事だとそういうのやらなくなる人が多いんですよね。
上司がどういう人で、どういう仕事スタイルなのか。それを考えたら自分が何をすべきかわかるし、成果も出しやすいし、評価もされるし。
評価されれば、自分の判断を尊重してもらいやすくなる。そうすれば、目的達成に近づく。
ちゃんと向き合っていれば「あ、きっと社長から言われてるからやれって言ってるだけだな」とか「たまたま思いつきで言ってるな」とか真意が分かりやすくなるじゃないですか。

toksatoさん

フジイユウジ

あーー、上司が何を欲してるのかが見えてるんだなあ。
上司から言われた通りにするのを頑張っちゃうだけでも、逆に自分の考えた正解だけやってるだけでも、その関係性って築けないですね。

そうそう。
いちいち「これやって良いですか」なんて確認とって上司の言うことだけやってたら良い結果なんて出せないし、逆にどんなに良い行動をしていても勝手な行動とってることをイヤがられたら評価されない。

toksatoさん

フジイユウジ

あー、言うこと聞くだけか、煙たがられるか、どちらかになりがち。
わかります。

いまの上司は割とちゃんとした人なんで助かってるんですけど(笑)
その上司と飲みに行ったとき、酔っぱらって「toksatoさんはいい感じに私のこと無視してくれるのがいいんですよね。本当に重要なことしかやらないから」って言われたことがあるんですよ。

toksatoさん

笑いながら話すtoksatoさん

フジイユウジ

信頼されてるなあ。
とはいえ、無視して「言うこと聞かない人」と思われたら信頼されなくなるってのも、ありそうじゃない?

上司が評価したくないこと勝手にやってたらそうなるけど、上司が評価したくなることしてたら信頼されますよね。
「確認するかどうか」も目的を達成するための手段に過ぎないから。

toksatoさん

フジイユウジ

目的の達成のために確認した方がいいのか、スルーした方がいいのか考えて行動しているから、上司に「いい感じに私のこと無視してくれるのがいい」って言われるんだな(笑)
その「上司が評価せざるを得ない」ものって、どうやって見極めるんですか。

それが、先ほどの「その人と向き合う」に戻ってくるんですよね。
上司が本当に求めてることは何なのかを見極めるために、向き合う。
いま所属している会社はそれなりの規模なんで、経営層が今後どういうことをしたいのかは、ぼくもニュースとかプレスリリースで知ったりするんですね。
社内のことを、社外から知るってちょっとおかしな話ですが(笑)
普段から上司に向き合っていれば、ニュースで知ったときに「上司自身もきっと上からこういうことを求められてるな」と考えられるし、「ぼくがこういう仕事をしたら上司は喜ぶな」と上司が評価せざるを得ないことが見つかるんですよ。

toksatoさん

部下から「こいつに相談する価値あるな」と信頼される上司になる方法。

フジイユウジ

つぎに、部下との信頼構築についてもお聞きしたいです。
toksatoさんは部下も多い立場だと思うんですけど、部下とのコミュニケーションはどうやってるんですか?

上司の場合は自分がやるべきと考えている「会社が目指していること」のために上司の欲しがる成果を出すって話でしたけど、部下の場合もまったく同じなんですよね。
「会社が目指していること」のために、どうしたら部下のパフォーマンスが上がるかを考えますね。

toksatoさん

フジイユウジ

目的達成のための課題解決という観点は、上司でも部下でもブレないんすね。

上司相手だとだいたいぼく自身が仕事で結果を出すだけでいいんですけど、部下の場合は本人のやりたいことと会社が求めている結果をどうやって同じレールに乗せるか考えないといけないってのが違いますね。
この会社で働くことが自分の人生のプラスになるって思ったら、そりゃみんなパフォーマンス発揮してくれるんで。
それをどう実現するか、を考えてますね。
例えば、本人がそれをやりたいことと自覚してパフォーマンスを発揮したら、キャリアアップにもつながるみたいな感じで。
もちろんこれは本人がキャリアアップしたいと思っている人の場合だけですけど。

toksatoさん

フジイユウジ

おおおおお。
上司の場合は仕事の結果でいいけど、部下の場合は人生のプラスになるかを両立させる必要があるって考え方、わかりやすい。

これ、別に部下の人生を良くしてやろうなんて大層なことを考えてるわけじゃないんですよ。
ぼくが達成すべき目的のために、メンバーのスキルとモチベーションが上がってる状態、みんなのパフォーマンス向上が必要だからやってるんですね。

toksatoさん

フジイユウジ

メンバーの人生のプラスになるような、スキルとモチベーションが上がってる状態をつくる。
具体的にはどんなコミュニケーションしたら、それができるんですかね?

よく、1on1で部下の困りごとを聞こうとするマネージャーがいるじゃないですか。
でも、「さあ、なに悩んでる?」なんて聞いても話してくれないのが普通ですよ。
部下から見て「こいつに相談する価値あるな」って思ってもらうのが先なのに。

toksatoさん

フジイユウジ

ウッ……その言葉が心に刺さって、ぼくはいま激しく反省しています……

そのためには「こいつに相談したら聞いてくれるだけじゃなく、ちゃんと自分が得する変化が起きる」って期待されてないと相談してくれるわけない。
「あ、この人はやってくれる」って。

toksatoさん

フジイユウジ

信頼関係の構築には対話だけじゃなくて「この人は状況を変える力がある」って思われる必要があるってことか。
「toksatoさんは相談する価値がある」って相手が感じる努力をするの、信頼構築の鬼だよ(笑)

たしかに、上司だろうと部下だろうと、人の期待に応えるタイミングを常に伺っているようなところはあるかもしれない。
おっ、これ頑張ったら期待に応えられるぞ、チャンス到来や!って(笑)
そのためにも、話をちゃんと聞いて、何を求めてる人なのか知ることがスタートですけどね。
その上で、部下がひとりでは解決できないことを見つけて解決したり、期待に応える。
これやってないと信頼してもらえないんで。

toksatoさん

フジイユウジ

自己開示してもらえるまでは、観察して何を求めてるのかをインプットしてるんですね。
確かにこれ、上司とのコミュニケーションで話してもらったことと一緒ですね。

そうなんです。
そして、期待に応えた後に「めっちゃ良い話」をすると、すげー良い上司だと思ってもらえるんですよ(笑)

toksatoさん

フジイユウジ

やたら「めっちゃ良い話」をしようする上司だとウザいけど、期待に応えてくれる上司の「めっちゃ良い話」なら聞きたいもんなあ(爆笑)

その部下がちゃんと自分の利益をイメージできるような「いずれこういう人になっちゃうかもしれないよ」とか、そういう「良い話」をすると信頼してもらえるような気がしますね。

toksatoさん

フジイユウジ

今まさに「めっちゃ良い話」されてるな、これ。
会社が求めているものとか、何を評価してるか、という全体像を伝えるんじゃないんですね。
部下達がそれぞれ人生で大切にしていることと、会社が求めていることのすり合わせまでをちゃんとやってるんだ。

上司であるぼくからその部下ごとの人生とかプライベートに無闇に踏み込むとハラスメントにもなりかねないから、できるだけ自分から聞くのは避けていて。
いや、まあ、聞いちゃうこともあるんですけど(笑)
それも「いまこれ聞いて大丈夫かな?この話できるほど信頼してもらえてるかな?」と常に問いながら聞いてます。
信頼関係を築いて、部下が安心して開示できる上司を目指すというか。

toksatoさん

フジイユウジ

部下に開示を求めるのと、開示してもらえる上司になる努力をするのは別のことですもんねえ。
なるほどなあ。

やたら自分に自信がない人だとか、ちょっと攻撃的な言動が目立つ人とかはパフォーマンス発揮してもらいにくいじゃないですか。
でも、過去どんな経験があってそうなったか内面を開示できるような関係性がないと、そんな踏み込んだ話なんてできない。
「この上司に話したら、何か変わるかもしれない」って期待と信頼があるから話してもらえるんですよね。
上司だから話してもらえるなんてことはないので、話を聞いて、期待に応えて……っていう繰り返しが必要になるんだと思います。

toksatoさん

「こうしてほしい」と伝えるだけでは、相手は動かない。


すこし真面目な表情のtoksatoさん


フジイユウジ

toksatoさんの話を聞いていて面白いのは、相手が100人いたら100通りのオーダーメイド的なコミュニケーションをしているところですよね。

よく「氷河期世代はこうだ」とか、「Z世代はこういう人」とかパターンやフレームワークにあてはめる話をする人がいますが、ああいうのは好きじゃないんですよ。
パターンや世代を見るのではなく、ひとりひとりに対してちゃんと向き合わないといけないはずじゃないですか。
そういう考えなので、個人ごとにその人の求めているものを見るクセがついているのかもしれないです。

toksatoさん

フジイユウジ

仕事って、相手にこちらのやって欲しいことをお願いすることも多いじゃないですか。
期待に応えるだけじゃなく。
toksatoさんがやって欲しいこと伝えるときも、ひとりひとりに向き合って、伝え方を変えているんですよね?

ぼくが「こうしてほしい」ってお気持ち表明するだけじゃ、相手は動かないじゃないですか。
例えばミスをなくしてほしいと言ってるだけでは、相手が行動を変える受け取り方をしない限り何の意味もないでしょう。
相手が行動を変えてくれるのは、相手の欲してること、やりたいことと合致したときなので。

toksatoさん

フジイユウジ

「こうしてほしい」や「こうあるべき」を伝えてるだけで、相手が変わらないって怒ってる人にとってはきっと耳が痛い話ですね。
ちゃんと相手と向き合うって、そういうことだなあー

ゲームのクエストをこなしているように考えるから、目的にフォーカスできる

よく誤解されるんですけど、ぼくには「自分がこうしたい」なんて目的はないんですよ。
しいていえば、毎日笑って仕事して、お金もらえて、お酒飲んでホルモン食べて、サッカー見られれば幸せで。

toksatoさん


toksatoさん横顔


ぼくが見ているのは最初から最後まで、「ぼくにお金を出している」会社が何を目指し、どうなることを目的としているのか。これだけです。
この目的に対して、介在する人のなかに上司がいる、という話で。

toksatoさん

フジイユウジ

仕事上のこだわりを極限まで減らしてるから、会社が目指しているものに抵抗なくフォーカスできるのかー。

だから上司を喜ばすって言っても、それを目的に仕事してるわけじゃないんです。
雇い主である会社が向かいたいゴールがあって、その目的のために上司を喜ばせる必要があるときにやるんですね。

toksatoさん

フジイユウジ

その考え方、マジで仕事人だわ。
プロリーマンだ。

違法行為だとか、お客様を欺くこと、社員やWebデザイナーを奴隷のように扱ってキャリアを潰すとか、そういうのはやりませんよ。
そういう最低限のことくらいしかこだわらないので、あとは目的があって、課題があり、解決策を出すだけに集中しているし、本当にこれだけしかやってない。

toksatoさん

フジイユウジ

そこまでシンプルに考えられるところに至れば、ストレスも少ないだろうし、確かになんでもやれそうですね。
自分のマインドを成果出しやすい状態にもっていってる。

あ、「ぼくには目的なんてない」ってことを強調しすぎて、自分でも「感情のないマシーンみたいだな」って思ったんで、もう少し補足をしますね(笑)
ぼくは「誰かから与えられた目的を、どう達成してやろう?」を考えるのが好きなんですよ。
ゲーム感覚っていうのが近いかもしれません。

toksatoさん

フジイユウジ

それは、めちゃくちゃ共感できるなー。
仕事を複雑なゲームを解いてる感覚で楽しんでるから、自然と目的にフォーカスすることができる。

例えば『会社から言われたことをこなすだけの仕事』を与えられたら、個人的には面白みを感じないけど、やらざるを得ないこともありますよね。
それなら「どうしたらこの仕事を面白くとらえられるだろう?」とか「この仕事をどう進めれば、自分が好きな”面白い”仕事を任されるだろう?」と考えます。

toksatoさん

フジイユウジ

ゲームを進めるように仕事してると、そう考えられるようになりますよね。

ぼくは自分の人生を「”ぼく”というゲームキャラを使ってプレイするゲーム」ととらえてるんです。
ゲームしてるとき「どうやってこのダンジョンを抜けるかな」って考えてるじゃないですか。近くにいる仲間にアプローチするのか、とりあえずモンスターを退治するのか、脱出魔法を使うのか。
会社や仕事の「目的」も「クエスト」ととらえるとわかりやすいかもですね。
自分がどうしたいとか、そういうことではなくて。
クエストのクリアは何か、というとらえ方をしている。

toksatoさん

フジイユウジ

toksatoさんの柔軟に人に向き合えるコミュケーションスタイルは、そういう人生観が根本にあるんですねえ。

これも、究極は自分のためなんですけどね。
自分のために、やるべきことをやってるだけだと思えば、そんなにツラいとか苦しいってことでもない。
自分のためって言っても、毎日ゲラゲラ笑って酒飲んでホルモン食べることですけど(笑)
そのためには安定したお金も必要だし、仕事も、評価されることも必要。
そして、仕事で評価されるためには、会社の目的をちゃんと見る必要がある。

toksatoさん

フジイユウジ

なるほどなあ。
その「究極は自分のため」を徹底しているからこそ、細かいこだわりを捨てて会社の目的にフォーカスしたり、上司や関係者に向き合ったりできるんですね。
「どうせ会社は動かない」とか「何度言っても変わらない」と、あきらめる理由を探す人は、この話にハッとするんじゃないかなあ。

そうなんですよ。みんな、あきらめるのが早い
ぼくは、自分の能力を伸ばして仕事の成果を出し続けたいし、その結果として自分の年収を上げたい。そのために上司と上手くやることが必要だったり、部下と向き合うことが必要ならやれば良いだけだと思うんです。
適切な解決策であるなら、イヤとか面倒とかじゃなく、やるだけなんで。
自分に権限がないこととか、言っても通らないこととかにぶつかると、みんなすぐ手を止めたり、考えるのを止めるじゃないですか。
ぼくはそれ「やれること沢山あるじゃん。もったいない」って思うんですけどね。

toksatoさん

まとめ: 徹底した「目的のためにどうするか」が、結果的に他者と向き合うことになっている。

(1). 相手のために行動するのではなく、(自分が必要だととらえている)目的→課題→解決策から軸をぶらさない。

(2). 上司が評価せざるを得ないこととは何かを観察し、目的達成と合致させる

(3). 部下の人生がプラスになることは何かを観察し、目的達成と合致させる

自分を殺して我慢をするのではなく、ちゃんと自分の幸せや「絶対にやりくないたい」ことをベースに、とにかく目的だけを見ることを徹底する。

自分を殺して我慢していたら長続きしないし、一方で自分勝手にやっていたら、組織のなかで評価されず自分の判断や行動が尊重されなくなる。だから、相手を適切に巻き込む。

toksatoさんは「他人からの評価」の話をしつつも、他人からどう見られているか・他人にどう思われるかのようなことに軸を置いていない。

徹底して「目的のために自分がどうするか、そのために他者とどういう関係を築くか」という自分にベクトルを向ける姿勢は多くの人にとって学びがあるのではないでしょうか。

誰かのせい・環境のせいと考えるとストレスになってしまいがちだけれど、(本当は他人や環境のせいだとしても)「自分は何をすればいいのか」と自分にベクトルを向けることがストレスマネジメントにもなっている。

「こういうミドルマネージャーが大量に生まれたら、日本の社会めちゃくちゃ良くなるじゃん」というのがインタビューを終えて最初に言ったひとことでした。

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(企画・編集:フジイユウジ / 取材・文・撮影:奥川 隼彦)取材:2023年7月

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