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あなたのチーム、Slackガイドラインありますか?

Agend編集部では、社内会議やチームコミュニケーションついての編集部内の会話を不定期に記事化しています。
今回は、会社内チャット・Slackのガイドラインについての話。

軽い雑談をそのまま記事にしたものですが、読者のみなさんが日々の仕事時間を振り返るキッカケになれば幸いです。

フジイユウジ


フジイユウジ

Agend編集長。2011年バンダースナッチを創業。
様々な事業の経営やグロースに携わる中で意思決定のための会議や組織論、チームコミュニケーションに強い興味を持ち、Agendの運営を開始。

奥川隼彦


奥川隼彦

Agend編集メンバー。Webマーケティングを本業にしつつも、組織開発や社内コミュニケーションに興味関心を持ち、Agendにてインタビュー・ライティング・写真撮影などを担当。

スタートアップやテック企業の多くにSlackガイドラインがある。

フジイさん、ぼくの勤め先にはSlackとか社内チャット利用ガイドラインがないんですけど、どう思います?
あった方がいいのかな。

奥川隼彦

フジイユウジ

共通認識がないことで困ることって多いですよね。
ガイドラインがなくてもコミュニケーションに困ってないなら、別になくても良いと思いますけどガイドラインがあると助かるチームのが多いんじゃないですかね。

ガイドラインがある会社、調べてみたら結構あるんですよね。
SmartHR、メルカリ、noteなどIT系の有名企業はSlackガイドラインを用意しているみたいで。

奥川隼彦

フジイユウジ

そうですねー。
優秀な人がたくさん働いていそうな会社にこそガイドラインがあるのって、個々人の優秀さを引き出すためにコミュニケーション設計が重要だと知っているからじゃないですかね。

たしかに。
色々な会社のガイドラインを読むだけでも学べることありそうですよね。

奥川隼彦

フジイユウジ

各社のSlackガイドラインとかテキストコミュニケーションのルールを読むと、中身はそれほど大きくは違わないのも面白いところです。

違いが大きくないんですか?

奥川隼彦

フジイユウジ

ぼくも各社多様なガイドラインがあるのかなと思っていたんですけどね。
「何のためにSlackガイドラインを設けて、どんなコミュニケーションを目指すのか」という目的を明確にして、あとは各チャンネルや通知、DMの扱いをどうするか程度を明文化していることが多いようです。
個別のルールが違うくらいで、すごく斬新なルールを作っているチームはあまりなさそうに思います。

こういうコミュニケーションを目指しましょうという目的があって、そのためのルールは最小限にしているんですね。

奥川隼彦

ガイドラインを作る前に、チャンネル設計を考え直す。

フジイユウジ

良いガイドラインがある会社は、そもそもガイドライン作る前にチャンネル設計をちゃんとしている気がしますね。
どんなチャンネルがあるか公開されているわけではないですけど……

ガイドラインの前のチャンネル設計というと?

奥川隼彦

フジイユウジ

例えばですが……
ほとんどの会社のガイドラインには「透明性を高めるために、なるべくDMを使わない」と書かれていますよね。

確かによく見かけますね。
クローズドな場所ではなくチーム内ではオープンに情報発信してください的な。

奥川隼彦

フジイユウジ

発信者からすると「こんな内容、このチャンネルに書くことじゃないよな」とか「全員が見てるところに書いたら迷惑かな」と良かれと思って、DMの方が良いと判断しているわけですよね。
そういう迷いが発生しないように「ここに投稿すれば良い」と思えるチャンネルがちゃんと作られていることが大事だと思います。

DMやめろ、って言っても減らないのはコミュニケーション設計の問題だったのか……。

奥川隼彦

フジイユウジ

DMが使われる理由ってわりとシンプルで、「ここに書いたら何かイヤなことになりそう」という不安なんだと思うんですよ。

このコミュニケーションはDMでしか解決できない、って思い込んじゃうわけですね。

奥川隼彦

フジイユウジ

その不安を解決するのって「DMするな」って書くことよりも、DMしなくても良い環境づくりが大事で……
DMを活用するかどうかはチームによるので、DMが悪いという話ではなく、あくまで仕組みの例としての話ですけどね。

あー、ガイドラインで「みんなDMしないでくれー」と言う前に、DMしたくなる発信を受け止めるチャンネルが事前に作られてないと意味がないのか……。

奥川隼彦

フジイユウジ

そうですそうです。
ひとことで回答できる質問とか、個人への作業依頼とか。
そういう「ちょっといいですか」を安心して書ける場所がないまま、ガイドラインでやめましょうって書いても守られないじゃないですか。
規模とかチャンネル設計によってはプロジェクトとかチームごとのチャンネルにそういうの書けると思うので、問題なければ良いですが、もし安心して書ける場所になっていないなら、設計で解決したいですよね。

具体的な仕組みとしては、timesがあればいいってことですかね。

奥川隼彦

times

人数分の個人部屋的チャンネル作って、メモや思いつきなど好きなことを書いて良い場所にする文化。

「誰でも見ようとすれば見られるが、他人の目を気にしないで書ける場」を生み出すことで、社内のみんなが何をしているのか知る機会になる。

また、社内のつぶやきから、暗黙知を得るきっかけや助け合う機会が生まれたりする。

フジイユウジ

さっき話した「投稿者が迷わないでオープンでいられる環境」を作れているか考えてみると良さそう。
timesで解決できるチームならそれで良いと思いますし、逆にtimesがあることで見えない場になってしまう場合もあるでしょうし。

あー、たしかにそうですね。
さっき言った「投稿者が迷わない環境」を作れているか考えてみると良さそう。

奥川隼彦

フジイユウジ

これが正解ってわけじゃない一例ですけど、作業依頼だろうが質問だろうが「流れていく会話」専用チャンネルが用意されているのが好きですねー。
全員にそのチャンネルの通知は自分宛てだけにして、通知を切ってもらう。

なるほど。
誰でも見られる場所で会話してもらって、でも他の人に通知されないという安心感の醸成もするのか。

奥川隼彦

フジイユウジ

Slackとか社内チャットって「ちょっと遅れます」もあれば「重要な議論」もあるし、「みんなへのお知らせ」も混在するじゃないですか。それらを分割するだけで、見なくても良い情報とキャッチアップすべき情報が整理できるんじゃないかと。組織規模にもよりますけど。

個人への作業依頼や質問みたいな流れて消えていくフロー情報と、決定事項の周知などのストックが混ざったりしますよね。
それぞれを明確に書く場所を分けると。

奥川隼彦

フジイユウジ

発信者が迷わない・安心してオープンに発信できるなら方法論は何でも良いのですけどね。
「こんなこと、ここに書いていいのかな」をなくすチャンネル設計をしてあれば、ガイドラインが効果を発揮すると思います。

ガイドライン、最初はできるだけシンプルで。

実際のガイドラインでは、どういうことを決めると良いんでしょうね。

奥川隼彦

フジイユウジ

目的をまず決めると良いんじゃないですかね。

目的……。

奥川隼彦

フジイユウジ

「◯◯のようになるために、このガイドラインがある」って書かれてないと、「このガイドラインを守る意味が分からん」って言い出す人が出たりするじゃないですか。
大切さとか価値観のアライン大事。

このガイドラインから外れると◯◯になれない、ってわかりやすいですもんね。

奥川隼彦

フジイユウジ

そうしないと、枝葉の細かなルールばかり増えていって、こんなに細かいこと覚えられないし、全員が守るなんて無理だよ!!ってものができあがっちゃいますからね。
その目的のために最低限やって欲しいことからスタートするのが良いと思います。

そっか。チャンネル設計されていて、目的が明確になれば、あとは守って欲しいガイドラインになる内容も決まってきますよね。

奥川隼彦

フジイユウジ

いまSlackガイドラインがないチームでこれから作るとしたら、チャンネル設計・整備をした上で3つくらい項目あれば良いんじゃないですかね。
あくまで、ぼくならこうするって例でしかないですが……
・チャンネルを増減していい基準と手順
・ゲストやメンバーを増やす基準と手順
・チームに入ったらすぐやる推奨設定
特に通知は決めた方が良いですね。

それくらいなら分かりやすいですね。

奥川隼彦

フジイユウジ

コミュニケーションを阻害しそうな大きな要因から潰した方が良いと思うんですよ。
チャンネルの命名規則とかもはあった方が良いけどクリティカルではないので、できるだけ細かなルールは慣れてからにして、目的達成への影響度が多いものからシンプルに作っていくと良いと思います。

発信者が迷わないから醸成される心理的安全性。

最初に細かいルールを沢山つくられても守れないですからね。
フジイさんが挙げた3つだと、普段から気をつけるのは通知くらいですよね。

奥川隼彦

フジイユウジ

Slackや社内チャットに投稿する発信者側が気を使いだすのは、コミュニケーションの阻害要因として大きいですからね。

阻害要因として大きいって、どういうことですか?

奥川隼彦

フジイユウジ

例えば、なにかを伝えたいけれど「通知が届くかもしれない。迷惑かな……」と迷って投稿するのを止めたり、DMの例でも話したように「ちょっとした相談だから、みんなが見えているところに書くほどではないかな」となったりすることありませんか。

あー、明日の朝にしちゃおうとか配慮するやつ。

奥川隼彦

フジイユウジ

思いついたことが共有されなかったり、みんなが見えるところに書かれなかったりする。
これは非常にもったいないし、良かれと思ってやる不要な配慮がチームコミュニケーションのブレーキになる。
ぼくが知ってるある会社では「受け手が曜日・時間などに対して適切な通知設定に責任をもち、発信者は通知されるかどうか気にしてはいけない」というガイドラインがあるんですけど、ここまで明確だと安心できますよね

発信を止めるような状況を回避するために受け手の責任として明文化してるのか。
面白いですね、それ。

奥川隼彦

フジイユウジ

勝手に不安になったりするニンゲン的な振る舞いを止めるのは無理なわけですから、チャンネルや通知の設定をガイドラインで整備して「大丈夫だよ」って伝えてあげるのって有効だと思うんですよね。

そうかー。
ただ、ガイドラインを作れば良いんじゃなくて、チャンネル設計とか通知設計を目的にそって考えるのか。
コミュニケーションの土台作りの一環なんですね。

奥川隼彦

フジイユウジ

心理的安全性を醸成するチャンネル設計やガイドラインになっているか、ルールを守るためのルールになっていないかって観点は大事だと思いますね。

まとめ: 良いガイドラインをつくるには。

社内チャットツールでのテキストコミュニケーションについての編集部内の会話、なにか参考になることがありましたでしょうか。

誰も守らないようなガイドラインを作っても意味はありませんし、守れないからといって個々がバラバラに動いてしまうと良いチームづくりの難易度が上がってしまいます。
やはり(ガイドラインのある多くの会社がそうしているように)、目指すべき姿を定義して、チャンネルやワークスペースの設定などの整備からスタートすることが「形だけのガイドライン」にならない方法なのだと思います。

また、目指すべき姿ではなく、いま起きている問題にフォーカスして作られた「べからず集」的なガイドラインも良い組織の土台にはならないでしょう。

作った後の運用や新規加入メンバーへのオンボーディングなども含め、組織の心理的安全性の醸成をサポートする仕組みやガイドラインがつくれると良いですね。

参考にさせていただいたガイドライン(公開から時間が経過しているものもあり)

ゆめみ(Slack以外も様々な社内ドキュメントが公開されていて参考になります)


メルカリ


SmartHR 「Slack の歩き方」

(企画・編集:フジイユウジ / 文:奥川 隼彦)

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